ステマ規制の導入の背景
前回の記事:―
次回の記事:ステマ規制をざっくり解説②
弁護士の松坂です。
不当景品類及び不当表示防止法(景表法)という法律が改正され、ステルスマーケティングが規制されることになります。
この連載では、ステマ規制について説明していくことにします。
本連載について
その前に、一言。
このコラム連載は「ざっくり解説」を心がけていきます。
なぜステマ規制が必要なのか・その内容な何なのかを本当にざっくり述べていきます。わかりやすさを最大限重視します。そのため(なるべく気を付けてはいますが)正確性を欠く部分があることをご了承ください。
私の依頼者には、企業の方など商品・サービスを消費者に販売したい側と、芸能関係の方・インフルエンサー等の発信する側の両方がいます。
皆さんとっても忙しく時間を惜しんで働いていらっしゃいます。貴重な時間を割いてこのコラムを読んでくださっている皆さんに感謝します。
本コラムは、ステマ規制を理解する第一歩として活用してくれればと思っています。(本当に時間が無い方は、コラム①は読まず、次回②から読んでください。)
より正確に・また細かいことを知りたい方は消費者庁のWEBサイトに分かりやすい解説があり、また法的の詳細はガイドラインも発表されていますので、そちら(末尾のリンク参照)を見ていただければと思います。
また、私のような弁護士に相談してもいいでしょう。案件に即したアドバイスが行えます。
連載①では、ステマ規制がなぜ必要なのか、を説明します。
規制内容については②以降で解説します。
ステマが規制された理由
一時期ステルスマーケティングという言葉が世間を賑わせたことがありました。
ステマと省略されるステルスマーケティングですが、一体何が悪いのでしょうか。どうして規制されたのでしょうか。
口コミの大きな影響力
今は大量消費社会であり、様々な商品が世の中に出回っています。
そして多くの人がインターネットで情報を集める時代もあります。
インターネット上で気になる商品が見つかったとして、「この商品どうかな?」と気になってもすぐに試すことはできません。店頭に行かなければならないのは億劫です。
でも、一般人・消費者(のように見える人)が「実際に使ってみたらよかった!」と口コミを投稿していたらどうでしょうか。
貴方は「じゃあ、使ってみよう」と思うわけです。
また、貴方が好きな芸能人・タレント・インフルエンサーがSNSやYouTubeの投稿で「この商品がいい!」と紹介していたらどうでしょうか。
貴方は「じゃあ、使ってみよう」「試してみよう」と思ってその商品の販売ページをクリックし購入したくなるかもしれません。
食事だって同じです。そのお店に行くかどうか、今や多くの人は口コミサイトやGoogleMapの評価を参考にしています。2点台のお店は避け、4点台だったら行ってしまうかもしれません。
口コミは消費者の商品選択に対する大きな力を持っているのです。
広告じゃないからこそ信用する
このようにその商品に惹かれてしまうのには1つの前提があります。
それは、口コミ・紹介・高い評価付けをしている人が、「実際にいいと思ったからわざわざ取り上げているんだ」と私たちが思うからです。
しかし、これが企業やお店側から報酬をもらって口コミをしていた・紹介していた・高い評価をつけていたとしたらどうでしょう。
私たちは「だまされた!」と思うわけです。
報酬をもらっていたら良し悪しは関係ありません。その依頼主に言われるがままに良い内容で紹介をするのが当たり前です。
もちろんCMに出ることや、お金をもらってSNSやYouTubeで商品を紹介することは何も悪いことではありません。
ただ、消費者は広告を「広告」としてみます。
好きな芸能人が出ているテレビCMを見ている消費者は「企業から依頼されて商品を紹介しているんだ」と割り引いて評価することができます。言い過ぎかもしれませんが、そのCMに出ている自分が大好きなタレントが本当にいいと思ってCMに出ているんだと妄信せずに済むわけです(本当にいいもののCMにしか出ない・取り上げないという方もたくさんいるのは承知しています)
それでもその商品が欲しいと思ったら購入するという選択をするわけです。
ステマは消費者を騙している
ステルスマーケティングはこの広告を割り引いて見るということをできなくします。
それは消費者をだます行為であり、だからこそステマは批判されるのです。
ちなみに、消費者庁の調査では、広告代理店としてはステマを行うことで広告効果が上がるためステマを行う動機があることがうかがわれることがわかり、また、実際にインフルエンサーの41%がステマを依頼されたことがあると回答したということでした。(「ステルスマーケティングに関する検討会 報告書」,令和4年12月28日,ステルスマーケティングに関する検討会P9~10)
では、そのステマ規制の対象となるものは何なのでしょうか。言い換えれば、どういったときに広告・PRと明記しないといけないのでしょうか。
また、何をしたらいいのでしょうか?広告・PRという言葉を書けばいいのでしょうか?
これについては次回以降述べたいと思います。
次回以降の参考として、消費者庁が公開している情報を貼っておきます。
①消費者庁WEBサイト
②告示
③ガイドライン(改訂版)
執筆者:弁護士 松坂拓也
ステマ規制についてお悩みの方はお問い合わせください。