Column

【再審】日本の「再審制度」が奪う時間 ~ドラマ「イチケイのカラス」を視聴して~

モーニングに連載されていた、裁判官が主人公という異色のコミックを原作とする「月9」ドラマ「イチケイのカラス」。

裁判官が法廷で突然立ち上がり、「職権発動します!」と言って自ら捜査を始めてしまうという荒唐無稽さに、私は早々にギブアップしてしまったが、もはや「法廷ファンタジー」として楽しんでいる同業者も多い。

そのなかで今週(5月17日)の回は「再審」が取り上げられたそうだ。

聞けば1時間ワクの回で、再審開始、再審無罪までたどりついたという。
人気ドラマで「再審」という制度があることを多くの人に知ってもらえるのは、それはそれでよいと思うので、ドラマを批判するつもりはない。

大事なことは、私たち法律家が「再審」を知った一般の人たちに、現実の再審にどれほどの時間と労力がかかっているかを伝えることだ。

日本で初めて冤罪被害者が死刑台から生還した免田事件では、事件発生から再審無罪になるまでに35年の歳月を要した。
しかし、これは「早いほう」かもしれない。

同じ死刑再審事件の袴田事件は事件から53年、名張事件は事件から60年が経過した今もなお、再審請求が続いているのだから。

日本国憲法は「個人の尊厳」に究極の価値を置いている。
無実なのに処罰されていい人など一人もいていいわけがない。
まして無実の人が死刑になってしまったら取り返しがつかない。
だから、再審制度は無実の人を救うためだけに存在しているのだ。
それなのに、こんなに時間がかかっているのはなぜ?

その理由を、少しずつこのコラムで解き明かしていきたい。

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