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【宗教法人】包括宗教法人と被包括宗教法人①  ~包括宗教法人と被包括宗教法人とは~

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宗教法人という言葉を聞いたことがあるかと思います。

日本には多くの宗教法人があり、その数は約18万とされています。
宗教法人の規模は、皆さんの近くにある寺院や神社、教会といった身近なものから、宗派、教派、教団といった大きな組織まで様々です。

そんな宗教法人を定めているのは、宗教法人法という法律です。

宗教法人法をみると、大きく2つの種類、細かくは3つの種類の宗教法人があります。

まず礼拝の施設を備える神社、寺院、教会などの「単位宗教法人」(同法2条1号参照)、そして宗派、教団、教派などの神社、寺院、教会などを傘下に持つ(包括する)「包括宗教法人」(同条2号参照)です。

単位宗教法人で、包括宗教法人の傘下にある宗教法人を「被包括宗教法人」といいます。(傘下にないものを単に「単位宗教法人」といいます。)

この包括・被包括という概念は、支配・被支配といった関係を示すものではなく、対等であることを前提としています。
そのため、法的には包括宗教法人の方が偉いとか、被包括宗教法人が包括宗教法人に従わなければならないということにはなっていません。

しかし、宗教としては支配・被支配の関係があり、また教義の内容や儀式の取り扱い等を統一しなければなりません。
そのため、何らかの方法で包括宗教法人が被包括宗教法人を規律する必要があります。

そこで、宗教法人法は、一定の事項について他の宗教団体(宗教法人)を制約し、または他の宗教団体(宗教法人)によって制約される事項を宗教法人の規則記載事項としています(宗教法人法12条1項12号)。

これより、包括宗教法人及び被包括宗教法人との両者が規則で定めた場合、一方の規則の定めが他方にも効力が及ぶこととなります。
これを相互規定と呼んだりします。

そして、ほとんどの包括宗教法人は、宗制等の規則で被包括宗教法人を制約を及ぼすといった取り扱いをしています

具体例としては、被包括宗教法人の代表役員の選定や規則の変更につき、包括宗教法人の包括宗教法人の代表役員の承認を要するといった旨の規定です。
これによって、包括宗教法人は、被包括宗教法人の代表役員の選定に関与することができ、包括宗教法人の影響を及ぼすガバナンス体制の構築ができることとなります。

なお、被包括宗教法人の規則中には「●●派宗制・規則中この法人に関係がある事項に関する規定は、この法人についてもその効力を有する。」といった網羅的な規定がされている場合が多く、このような規定がある場合、包括宗教法人の被包括宗教法人に関する定めはすべて被包括宗教法人に効力が生じることとなります。

そして、単位宗教法人が包括宗教法人の傘下に入り被包括宗教法人となることを、被包括関係の設定といいます。

被包括宗教法人が包括宗教法人の傘下から離脱することは被包括関係廃止といい、単立とも呼ばれます。

被包括関係の設定方法は、被包括宗教法人の設立時に設定する場合と、設立後に途中から設定する場合とで若干方法が異なります。

①設立時に設定する場合は、被包括宗教法人の設立時の規則に包括宗教団体(法人)等の記載が必要となります(宗教法人法12条1項4号)。

②設立後に途中から設定する場合は、信者に公告をし、包括宗教団体(法人)の承認を受け所轄庁に規則変更の認証を申請します。

被包括関係廃止については次回解説します。

弊所では、寺社をはじめとする宗教法人の方からのご相談も多く、寺院法務PTを組織して日々案件に取り組んでいます。

京都オフィスでも、髙橋・松坂を中心に宗教法人の方からのご相談に対応しております。
日常的な法律相談から、宗教法人のガバナンスの問題、借地に関係する問題まで幅広く取り扱っておりますので、お気軽にご相談ください。

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