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フリーランス保護法に対応すべき事業者とは?

【関連コラム】
フリーランス保護法での取引条件明示義務とは?(ひな形あり)

弁護士の松坂です。
フリーランス保護法(フリーランス新法)は2024年11月1日に施行されます。
正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」です。

この法律によって事業者(委託者)がフリーランスに業務委託をするときに、一定の事項を書面等で提示しなければいけなかったり、報酬支払いを一定期限までにしなければならなかったり、フリーランスの利益を害するような行為をしてはいけなかったりということが義務付けられました。

そのため、フリーランスに業務委託している事業者は、2024年10月末までに対応を取る必要があります

この対象となる【フリーランス】とは、ざっくりいって従業員を雇用していない人を指します。個人事業主だけでなく法人であっても従業員がいなくともフリーランスとなり得るため注意が必要です。

それでは、事業者は、フリーランス保護法を守るために何をしなければならないでしょうか。
詳細を見ていきましょう。


フローチャートで確認

まずは貴方がフリーランス保護法の規制対象か?を確認しましょう。
以下のフローチャートで適用対象なのか・どんな規制があるかを確認してみてください

※自己利用は可能です。
 自己利用を超える複製・印刷・配布・加工等(第三者へのアドバイザリー目的を含む。)はおやめください。
 正確性・完全性は担保しません。自己責任でご利用ください。適宜修正・改善をしていく予定です。


フリーランス保護法の目的

フリーランス保護法の目的は法の1条に記載がありますが、ざっくりいって

フリーランスが安心して働ける環境を整備するため、
①フリーランスと企業などの発注事業者の間の取引の適正化
②フリーランスの就業環境の整備を図ること
を目的とするものです(厚労省パンフレットより一部改変)。001261528.pdf (mhlw.go.jp)

対象となるフリーランス

同法の保護の対象となるフリーランスは、フローチャートにもあるように、従業員を雇っていない個人又は法人となります。
法人であっても、代表者1名以外には役員も従業員もいないのであれば実質個人と同じであるため保護対象となります。

この保護されるフリーランスのことを「特定業務受託事業者」といいます。
反対に、従業員を雇っている場合は個人事業主であっても同法の保護対象外となります。


対象となる業務

対象となる業務は、業務委託全般です。

法的には
①物品の製造(加工含む)又は情報成果物の作成委託
②役務(サービス)提供を委託

となっています。

情報成果物とは何かというのは、プログラム系、映像音声系、絵・デザインなどの成果物を指します。
言ってしまえば、業務を他人に依頼する場合のほとんどが適用対象となります。
なお、物品の修理も②に該当されるとされています。


対象となる業務委託者(委託元)

同法の対象となり義務を負うのは、特定業務委託事業者(フリーランス)に業務委託をする(委託元)事業者です。

特定業務委託事業者(フリーランス)に対して業務委託する事業者は、どんな事業者であっても、書面等による取引条件明示義務が生じます
そして、委託先事業者が従業員を雇用している(法人の場合は役員が2名以上いる場合も含みます。)のであれば、委託先事業者は「特定業務委託事業者」というのにあたり、業務委託の期間に応じて義務が増えていきます
(詳細はフローチャートをご覧ください。)


業務委託の期間について

こちらも詳細はフローチャートの最後の欄をご確認ください。

少し噛み砕いていえば、一連の業務を委託した日から終了した日になります。
1個の業務委託であれば、業務委託の日(=契約日)から委託の終了日(給付受領予定日又は契約終了日のうちの遅い日)までの期間となります。

業務委託に関する基本契約を締結している場合には、基本契約の締結日から終了日までとなります。

契約の更新がある場合は、最初の業務委託等の始期から、最後の業務委託等の終期となります。なお、「契約の更新」といえるためには、同一の当事者間でのものであって提供する業務の内容が一定程度の同一性を有することが必要で、また更新の間の空白期間が1カ月未満である必要があります。


こられがフリーランス保護法の適用対象に関する事項です。
次回では、フリーランス保護法の個別の義務項目のうち、取引条件の明示義務について見て行きます。


執筆者:弁護士 松坂拓也
フリーランス保護法への対応についてお悩みの方は弊所までお問い合わせください。

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