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④フリーランス保護法における禁止事項とやるべき事項

【関連コラム】
①フリーランス保護法に対応すべき事業者とは?
②フリーランス保護法での取引条件明示義務とは?(ひな形あり)
③リーランス保護法における報酬の支払期日の設定と支払義務

フリーランス保護法は、一定の委託先に対して、禁止行為とやらなければならない行為というのを定めています。

これまでのコラムでは、
①書面等による取引条件の明示義務
②報酬期日の設定・期日内支払義務
について述べてきました。

このコラムではその他の規制内容について大づかみしていきます。

なお、①書面等による取引条件の明示義務はフリーランス保護法の対象となるすべての委託者に適用され、②報酬期日の設定・期日内支払義務全ての特定業務委託事業者に適用されます。
どの委託者にどのような規制が適用されるかは、フリーランス保護法に対応すべき事業者とは?のフローチャートを見てください。


禁止行為

フリーランス保護法では、委託者(特定委託事業者)が行ってはならない7つの禁止行為を規定しています(法5条1項)。

禁止行為禁止されている内容
受領拒否の禁止フリーランスの帰責性が無いのに、注文した物品又は情報成果物の受領を拒むこと(納期を延長して受領しないことも含む。)
報酬減額の禁止フリーランスの帰責事由がないのにあらかじめ定めた報酬を減額すること(合意があったとしてもフリーランスの帰責事由が無いのに減額することも違反となる)
返品の禁止フリーランスの帰責事由がないのに受け取った物を返品すること。 なお契約に適合しない物だった場合だとしても返品できる期間について、すぐに発見できるものは受領後速やかに、それが難しいとしても受領後6ヶ月(一定の場合最長で1年)に限られる。
買いたたき禁止類似品等の価格又は市価に比べて著しく低い報酬を不当に定めること ※過去事例・他の事例が参照されるほか、十分な協議がされているかなども考慮要素となる。
購入・利用強制の禁止委託者が指定する物・役務を強制的(取引の条件としたり、従わない場合に不利益を与えるなど)に購入・利用させること ただし、給付内容を均質にし、又は改善を図るために必要な場合その他の正当な理由があるときは認められる。
不当な経済上の利益の提供の禁止フリーランスから金銭(協賛金や協力金等。ただし名目は問わない。)、労務の提供等をさせることによって、フリーランスの利益を不当に害すること ※知的財産権の無償譲渡や業務委託の目的を超えた使用の許諾も含まれる。
不当な供給内容の変更
不当なやり直しの禁止
フリーランスの帰責事由がないのに費用を負担せずに注文内容を変更し、又は受領後にやり直しをさせること

募集情報の的確表示

広告等でフリーランス保護法の対象となるフリーランスを募る場合には、
当該募集情報について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならず(法12 条1項)
正確かつ最新の内容に保たなければならない(同条第2項)
とされています。

詳細は指針フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ |厚生労働省掲載)に定められていますのでそちらを参考にしてください。


妊娠。出産若しくは育児介護等と業務との両立への配慮

委託者は、6ヶ月以上継続して業務委託(更新によって6ヶ月以上となる場合を含みます。)を行う場合、フリーランスからの申し出に応じて、フリーランスが妊娠、出産若しくは育児又は介護と両立しつつ当該業務に従事することができるよう、その者の育児介護等の状況に応じた必要な配慮をしなければならないとされています(法13 条1項)。

行うべき内容は、
フリーランスの申出内容の把握
配慮の内容や選択肢の検討
配慮内容の伝達と実施
できない場合にはその旨の伝達と理由の説明
とされています。

配慮の例としては、業務の時間や場所の調整や納期の変更などが例として挙げられています。

詳細は指針フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ |厚生労働省掲載)に定められていますのでそちらを参考にしてください。


ハラスメント対策の体制整備

委託者は、フリーランスに対する業務に関して生じうるセクハラ・マタハラ・パワハラについて、一定の体制整備を行うこととされています。

一定の体制整備の内容としては
委託者の方針の明確化・周知啓発
相談・苦情に応じ適切な対応体制の整備
ハラスメントに関する事後の迅速かつ適切な対応
その他の事項

となっています。

①委託者の方針の明確化・周知啓発については、
(1) 発注事業者の方針等の明確化と社内(業務委託に係る契約担当者等)へ周知・啓発すること
(2) ハラスメント行為者に対しては厳正に対処する旨の方針を就業規則などに規定すること
が必要です。

②相談・苦情に応じ適切な対応体制の整備については、
(1) 相談窓口を設置し、フリーランスへ周知すること
(2) 相談窓口担当者が相談に適切に対応できるようにすること
が必要です。

③ハラスメントに関する事後の迅速かつ適切な対応の具体的内容は以下とされています。
(1) 事案についての事実関係を迅速かつ正確に把握すること。
(2) 事実関係の確認ができた場合、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に実施すること。
(3) 事実関係の確認ができた場合、行為者に対する措置を適正に実施すること。
(4) ハラスメントに関する方針の再周知・啓発などの再発防止に向けた措置を実施すること。

こちらも、詳細は指針フリーランスとして業務を行う方・フリーランスの方に業務を委託する事業者の方等へ |厚生労働省掲載)に定められていますのでそちらを参考にしてください。


中途解除等の事前予告・理由開示

委託者は、6ヶ月以上継続して業務委託(更新によって6ヶ月以上となる場合を含みます。)を行う場合、当該業務委託契約の解除・不更新について解除予告義務が生じます。

ここの解除は、委託先からの一方的な契約解除となります。
契約の不更新は、委託先が更新しないという意思をもって、契約満了日から起算して1ヶ月以内に次の契約を締結しない場合を指します。

なお、業務委託契約の内容(性質)からして1回きりの契約であることが明らかな場合、断続的な業務委託であって次の契約申込を行うことができるかが明らかでない場合は、不更新には該当しません(※ただし、次の契約申込みをしないことが明らになったときはその旨を伝達すべきとされています)。

原則として、少なくとも30日前までに解除・不更新の予告をしなければなりません(法16条1項)。
また、予告から契約満了までの間に、フリーランスが解除・不更新が行われる理由の開示を請求した場合、これを開示しなければなりません(法16条2項)。

この30日前予告と理由開示は、書面・FAX・電子メール等の方法で行う必要があります。

例外として、30日前予告と理由開示が不要となるケースがあります

30日前の予告が不要となるケースは以下のとおりです。

①災害などによるとき
災害その他やむを得ない事由(天災事変に準ずるようなこと)によって予告が困難なときが予告が不要となります。

②再委託であるときに元の委託契約が解除されたとき
委託者がフリーランスに委託していた内容が、元委託先のいる再委託であった場合に、元委託先と委託先との契約が解除され、再委託業務の大部分が不要となってしまった場合、その他直ちに再委託契約(委託者・フリーランスの契約)を解除する必要があるときを指します。

③個別の業務委託の期間が30日以下など短期間である場合

④フリーランスの責めに帰すべき事由がある場合
フリーランスの故意・過失、これと同視すべき事由がある事由とされていますが、予告によるフリーランス保護を与える必要のない程度に重大又は悪質である場合という解説がなされています。
軽微な違反では予告義務が必要とされます。

⑤基本契約がある場合で、フリーランスの事情で相当な期間、個別契約が締結されていない場合
 「相当な期間」は、概ね6ヶ月以上の期間が開いている場合とされています。

また、理由開示が不要とされるケースが2つあります。

①理由の開示により第三者の利益を害するおそれがある場合
委託者・フリーランス以外の第三者の利益を害するおそれが必要です。

②他の法令に違反することとなる場合
例えば、法律上の守秘義務違反の場合が挙げられます。


執筆者:弁護士 松坂拓也
フリーランス保護法についてお悩みの方は弊所までお問い合わせください。

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