Column

【刑事弁護】取調べ立会いの早期実現に向けて

取調べは、密室の取調室で行われます。
取調べにおいては、捜査機関に1人で対峙しなければなりません。
身に覚えがない事件について取調べを受け、「やっていない」と正直に言っても、捜査機関は耳を貸しません。
捜査機関は「お前がやったんだろう。」などと、決めつけ続けます。
このような取調べは決して遠い昔の遺物ではありません。
わずか3年前にも、大学生が犯人と決めつけられた取調べを受けたとして、ニュースになりました(産経新聞のニュース記事を参照ください。)。

10年ほど前に取調べの録音録画が導入され、取調べが可視化され、取調室という密室に風穴が開きました。
しかしながら、取調べの録音録画がなされている事件のほとんどは、身体拘束を受けた事件のうちの、検察官による取調べか、裁判員裁判対象事件における警察官の取調べに限られています。
身体拘束を受けた事件の多くは裁判員裁判対象事件ではないため、警察官の取調べは録音録画されないことが通常となっています。
また、身体拘束を受けていない事件の取調べも、録音録画されません。
録音録画されていない事件では、犯人と決めつけた取調べは今も行われています。
私が扱う事件でも、取調べを問題視し、抗議文を出すことはしばしばあります。
早急に、全事件の取調べの録音録画がなされるべきです。

もっとも、取調べの録音録画は、あくまで捜査機関への牽制や、事後的な検証に止まるという部分は否めないように思います。
やはり、取調べに対して、弁護人が横にいて、リアルタイムにアドバイスすることが必要であるように思います。
このコラムを書いている2022年8月7日現在、身体拘束を受けていない事件の取調べでさえ、捜査機関は弁護人による取調べの立会いに反対しているように思われます。
国は、検察官の取調べにおいては検察官の判断で立ち会わせられると回答していますが(法務・検察行政刷新会議第6回議事録16ページ参照)、私は取調べに立ち会わせる検察官に出会ったことはありません。
また、警察については、北海道警本部は一律に弁護人の立会いを認めない旨の対応要領を作成したという北海道新聞のニュースが流れました。

令和4年8月4日に、近畿弁護士会連合会の夏期研修が行われ、取調べの立会いを扱いました。
私はパネルディスカッションの司会をしつつ、講師の先生方のお話を聞いて学びました。
今後取調べの立会いを実現するために、各弁護人において取調べの立会いを求め続けること、
また、身体拘束を受けていない事件の取調べにおいて、弁護人が警察署や検察庁に待機していつでも依頼者の相談を受けられるようにする、いわゆる準立会いについて行い続けることの重要性が説かれていました。
私も、取調べ立会いの申入れ、そして、準立会いの実施を、今後取り組んでいこうと思いました。

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