前回の記事:包括宗教法人と被包括宗教法人とは
次回の記事:被包括関係廃止(単立)の法的紛争事例及び被包括宗教法人の保護
前回のコラム(【宗教法人】包括宗教法人と被包括宗教法人①~包括宗教法人と被包括宗教法人とは~)では、宗教法人の種別と包括・被包括関係について記載しました。
今回はその被包括関係の廃止(単立)について記載します。
ある宗教団体がどの宗派、教派、教団に属するかということは、当該宗教団体にとってまさに信教の自由そのものの問題です。
被包括宗教法人が、ある包括宗教法人に所属していたが、その信仰に関する考え方が変わってきたという理由で包括宗教法人・被包括宗教法人という関係性を断ち切りたいと考えた場合、これが出来なかったり不当に制限されたりすると、被包括宗教法人の信教の自由に対する侵害につながりかねません。
また、人事や財産処分、法人活動をはじめとした法人の運営に関する法人間の対立も少なくありません。
そこで被包括関係の廃止が適切に行われるよう、宗教法人法はいくつかの定めを置いています。
まず、一般的な被包括関係廃止の手続きを概観します。
被包括関係の廃止の手続きには、被包括宗教法人における規則変更の手続き、被包括関係廃止の公告及び包括宗教法人へ通知し、そして所轄庁から規則変更についての認証を受けるといった手続きを要します。
当該宗教法人の規則や機関構成によって若干の違いはありますが、一般には以下の手続きを経ることになります。
なお、規則の変更に際しては、包括宗教団体(法人)等の記載を削除すればよいというわけではありません。
包括宗教団体(法人)があることが前提となっている定めは、単位宗教法人として包括宗教団体(法人)がないことを前提としたものに全て修正する必要があります。
また、運営が円滑に進むよう機関構成や各種手続き見直す必要があります。
次回のコラムでも記載しますが、被包括関係廃止(単立)は、包括宗教法人にとって非常にインパクトが大きい事項で、紛争に発展し法廷闘争となることも少なくありません。
不備のないお手続きを行うためにも、信頼できる弁護士に、規則改定案の策定をはじめとして、手続全般のサポートを受けられることをお勧めします。