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【景表法】ステマ規制をざっくり解説③―令和5年景表法改正―

ステマ規制の対象にならないものの例~事業者の表示とならないもの~

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弁護士の松坂です。
前回はステマ規制の対象となる投稿とは何か?を解説しました。
特に、金銭的な報酬をもらっていないし、広告の明示の依頼や指示もないけれども、事業者とのやり取りが発生しているケースはややこしかったと思います。

改めて解説すると、事業者が第三者の表示に関与したとしても、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合は、事業者の表示とはならず、ステマ規定の対象外となります。

そして、この判断には、主に以下のような事情を総合的に考慮して判断します。

  1. 事業者(化粧品メーカー)と第三者(投稿者)の間の表示内容(投稿内容)に関する情報のやり取りの有無
  2. 表示内容に関する依頼・指示の有無
  3. 事業者から第三者への対価の提供の有無
  4. 事業者と第三者の関係性(表示内容の決定に関与できる程度の関係があるのか)

これをしなければステマ規制の対象外ということは難しいです。
そのため、せめてもの参考として、以下ではステマ規制の対象とならないのは「こういったケースだ」というのを列挙してみたいと思います。
※例によって、化粧品メーカーの商品について、インフルエンサーがSNSに投稿する場面で考えてみます。


ステマ規制の対象とならないものの例

  • インフルエンサーが、化粧品メーカーからの依頼も指示ものもない状況で、自主的な意思に基づき投稿する場合
  • 化粧品メーカーが、インフルエンサーに無償で商品を提供しての投稿を依頼した(投稿内容の指示はなし)が、その依頼とは関係なくインフルエンサーが自主的な意思に基づき投稿する場合
    ※ただし、投稿されたことによって繰り返しギフティングがされていたり、ギフティングに応じて毎回投稿していると注意が必要
  • 化粧品メーカーが自社の商品のレビューを書いたインフルエンサーに対して、レビューの謝礼として割引クーポン等を配布した場合で、インフルエンサーがもともと勝手(謝礼を期待しないで)に投稿をしていた場合
  • インフルエンサーが、化粧品メーカーが行っているキャンペーン(「#XX」を付けて投稿したら抽選で○名様に商品プレゼントのような公開された企画)に応募するために自主的な意思に基づき投稿を行う場合

大事なのは消費者(ユーザー)目線の誠意ある投稿

上記のような場合は、通常はステマ規制の対象外となるでしょうから、安心して投稿してください。

自分は実際に化粧品メーカーからお願いされたからではなくて純粋に思ったことを投稿して広めたいというときに、広告案件として依頼が来ているわけでもないけど、「でも何度かギフティング受けてるから、対象と思われるかもしれない」と思った場合、悩んだときは【広告】と表示するのが安全かもしれません。

しかし、それを実際にやるのも、「おこがましい」「おおげさだ」と思われるケースもあるでしょう。そういったときは投稿に至った経緯や報酬とされるようなことを記載しても良いかもしれません

「新しい商品だということでメーカーさんから今回もギフティングを受けました!そこで使ってみたら、やっぱりこの新商品もお肌に合っててよかった!」というような感じで書けば、消費者も実態に合った評価ができると私は考えています。

次回は、広告案件が来たが、結局何をすればいいのか(どんな記載をしたらいいのか)を解説します。


執筆者:弁護士 松坂拓也
ステマ規制についてお悩みの方はお問い合わせください。

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